巡礼証明書はもらえた

2015年11月30日 00:55

20151129

夕方6時頃目が覚めた。

まだ日がサンサンと照っていたので、外出の準備をした。

日本で調べていた不思議な香りのするボタフメイロ(香炉)が気になった。

大きな香炉を振り子のように降り大聖堂内を清める儀式。

さっき大聖堂でミサを見た時は見れなかったので、

時間を聞こうと思った。

ホテルから近いのでまた大聖堂の方に戻った。



お土産物屋さん、大聖堂周辺にいる人達、警察官など

誰に聞いても決められた時間はないと言われた。

そして、

「普通の人は見られないし、ラッキーだったら見られるよ。」

と最後に必ず言われた。

同じ答えしか返ってこないので諦めて、

コンポステーラ(巡礼証明書)をもらえるか聞きに行くことにした。

夜7時半を過ぎているから人も空いているだろう。



巡礼証明書は100km以上歩いた巡礼者にしかもらえない。

クレデンシャルのスタンプを確認し証明書を発行してくれる場所に向かうと、

既に長蛇の列ができていた。

私はホテルに戻りシャワー浴びているので他の人より目立った。

並んでいる巡礼者達は、何千キロも歩いて来たのではないか?と

思うような姿をしていた。

日に焼けて皮がむけている人。

足を怪我している人も何人かいる。

水が欲しいと痩せこけた人が言っている。

リュックがボロボロの人も。

彼らのように巡礼をしてここまで歩いては来れていないけれど、

気持ちは100km以上歩いたから。。。

クタクタの巡礼者の間で複雑な気持ちになった。



私の番になり受付の人に確認した。

受付の人はあっさり「OK.書類に書いて」と。

私は長蛇の列で悩んでいたけれど、

事務作業のみで受け取れるらしいシステムだった。

巡礼証明書を発行するのに費用はなく、

賞状入れのような筒にはお金が必要と言われた。

私は募金箱が目に入ったので、私の気持ちを入れた。



私が受付から出てきても長蛇の列は続いていた。

知っている顔の人は誰もいない。

フランス道を通って歩いて来た人達だろうか。

私はポルトガルからの道だったけれど、

フランスからの道を歩く人達は多いと聞いていた。



クレデンシャルを手にして、

もう1度感謝の気持ちを大聖堂に伝えに行きたかった。

8時をもう過ぎそうだし、ミサは終わってるだろうな。

とりあえず行ってみよう。

プロビデンスの目

2015年11月29日 23:33

20151129

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に戻ると、

王様がいるミサは終わっていた。

大聖堂内の木の椅子には熱心な信者さん達が座り、

後ろや椅子の横に観光客が立ってその様子を見ていた。

大聖堂内ではオルガン生演奏と歌が聞けた。

司祭はスペイン語で説教というようなものを話し、

信者や観光客はその雰囲気に感動していた。

色々な教会や大聖堂、修道院を行ったけれど、

ここの場所は他のカトリック系の場所とは違い、

何か地場のようなものが変わっているという感じがする。



大聖堂内は特別なイベントの日なので人が多く、

建物内を自由に移動することができなかった。

やっと落ち着いて観察できる場所を見つけた。

柱の横で誰にも邪魔されずにいられる。

ミサが行われている間は司祭しか話していない。

けれど、ガヤガヤ人の声が聞こえる。

言葉が分からない説教を聞きながら建物を観察してみた。

周りを見渡すがもちろん誰もしゃべっていない。

どこからこの声は聞こえているんだ?

天井が高いから声が響いているのか?



2階から声がする!

大聖堂には2階があるが人は上がれない。

また観察してみた。

2階には今は人間ではない存在が説教を聞いているのか、

大勢いるのを感じた。うるさいと感じるぐらいいる。

(後になって話を聞いた所、巡礼者が長旅をした後、2階に泊っていたそうだ)

きっと、霊になった人達もこの日の為に集まってきたのだろう。

この奇跡をヤコブ像も私に信じるように伝えているようだ。



私は一旦ホテルに戻り、シャワーを浴びて寝ることにした。

お部屋は3階の個室シングルベッドルーム。

シャワーとトイレ、テレビに机、オーガニックのコスメが置いてある。

天窓からは町の様子が見えた。

夕方まで少し寝よう。

天使のいる宿

2015年11月27日 21:23

20151127

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂内には

ミサが始まり入れない様子だったので、

今日泊まる宿を探しながら、朝食を取ることにした。

この町にインターネットで気になった宿があり、

1日だけでもそこに泊まりたかったので、

日本にいる時にメールをしていた。

けれど、旅に出てからメールをしていない。

部屋が取れているのか不安だった。



日本から持ってきたなんとなく書いた地図と住所と

ホテルの名前を頼りに歩いた。

どの道も似ていて道が分からない。

また、道を聞いてもこの町の人は

壁に書かれている道の名前を覚えていない。

しばらく歩き続けて見つからないのでカフェに入った。

モデルのように容姿が素敵な男性が店員だった。

クロワッサンの間にハムとチーズが挟まりプレスして焼いたものと、

エスプレッソ(こちらではコーヒー)を頼んだ。

クロワッサンの甘味とチーズ・ハムの塩気が良く合う。

毎日通いたいお店に決定した。



グッドルッキングの店員さんにホテルの場所を聞いてみた。

「この道の先だ。出て右に曲がって進んだら看板あるよ」

このお店を選んで良かった。

店員さんにお礼を言ってホテルの場所へ歩いた。



店員さんが言っていたように建物に

ホテルの名前「コスタベラ」と書いてある建物をみつけた。

しかし、人がいる気配がない。

扉はしまっている。

呼び鈴を鳴らしたけれど、やはり誰も出てこない。

外出中かもしれないので階段に座り待つことにした。

ガラス窓をよく見ると、セールとスペイン語で書かれている。

売りに出されてる?



私は焦り、電話番号を確認しておくべきだったと思った。

「近くを通った女性にここは売りに出ているのでしょうか?」

「コスタベラのホテルはここですか?」と尋ねた。

女性は笑顔で「あなたの後ろよ」と指さした。

私の後ろにはお洒落なレストランに見える建物と

美しい植物のお庭があった。



ここホテル?

私は落胆した気持ちでいたので、

頭をずっと下にしていて気付かなかった。

頭を上げればホテルと書かれている看板が

直ぐに目に留まったはずなのに。

植物に囲まれた入り口を覗くと、

建物内は天国のように見えた。

小さな妖精がいるようだ。

バタバタと忙しいそうなスタッフに声を掛けてみた。



私:   「すみません。ここホテルですか?」
スタッフ:「隣がホテルの入り口だよ」
     「ちょっと待ってて」
     「名前は?」
     「あっ君、連絡してたけど返信受け取った?」
私:   「すみません。巡礼していてパソコン持っていなくて」
スタッフ:「OK。部屋はあるから大丈夫だよ」
     「30分後にまた来てくれるかな?今忙しいから」
私:   「ありがとうございます。ではまた後で」



忙しのに笑顔で答えてくれるスタッフで良かった。

部屋も取っていてくれて良かった。

私はホテルの荷物置きに大きなリュックを置かせてもらい、

また大聖堂に向かった。



◆ホテルの情報◆

Hotel Costa Vella

Rúa da Porta da Pena, 17, 15704 Santiago de Compostela, A Coruña, España
T. +34 981 56 95 30
E. http://www.costavella.com/

この国の王様

2015年11月27日 16:18

20151107-3

聖職者達と司祭達の列の後に、

音楽隊の演奏も続いていった。

親切な人達が私に「あっちだ」と示していた

建物の反対側に向かって進んでいった。

そうか、、

イベントがあるからそれを皆は私に見せたかったのだろう。



私は音楽隊の後をカメラで撮影しながら、

涙が止まらないままついていった。

写真と動画を撮っていれば皆にもこの幸運を伝えられる。

周りが気にならずこの場の空間は不思議な一体感があった。



「ちょっと待ってきみ!」

警察官に私だけが止められた。

私のリュックを指差して何かを言っている。

しかも、スペイン語でシリアスな雰囲気だ。

私がこの大きなリュックを背負っているからダメなのか?

それとも私の身なりがダメなのか?

ジェスチャーと英語で伝えてみた。

警察官は英語が話せないと言う。

私は大きなリュックを道に置こうとすると、

「置くな!」と怒鳴る口調になった。

私は警察官がどうしたいのか?

私もどうしていいのかわからず困った。

周りの人達は広場にそのまま入っている。

なぜ、私だけ、、、?



近くに立っていた男性が私の所に来て、

英語ができるから通訳してあげると言ってくれた。

その男性が警察官のスペイン語を英語でに訳し、

伝えてくれた内容に笑ってしまった。

私が号泣し、巡礼用の大きなリュックを背負い、

王様がいる広場に進もうとしていたのを見て、

自爆テロだと思った。と言われた。



私の格好だ。警察官に誤解させてしまったのは。

警察官にこれは巡礼の荷物で、

これまで巡礼中にハプニング色々あって泣いてたと説明した。

しかし、この国の王様が広場にいるから君は広場に入れないと言われた。



王様?
どこよ?
どの人?



警察官に私の事を理解してもらえて、

写真は撮っていいよと言われた。

けれど、どれが王様か分からない。

王様の情報を持っていないので、

並んでいる紳士淑女を見ても分からなかった。

「ほらネクタイして階段今上っている人」と言われても

紳士に見える人は皆スーツが似てるから分からなかった。

なんとなく写真を数枚撮らせてもらえた。

私は本当にツイてる!

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の中へ

王様も司祭達、聖職者達は入っていってしまった。

この感動を誰かに伝えたいけれど、

私はまた1人になっていた。

ヤコブ像が降りてくる

2015年11月24日 00:07

20151107-2

通りがかりの親切な人が

「広場はあっちだ」
「この建物の反対側に行け」

と何度も説明してくる。

私はしばらく階段下からこの教会を見ていたかった。

「後で行くから大丈夫です」と話し

ぼーっと立っていると、

近くにいた音楽隊が演奏をし始めた。

何だ?何か始まるの?



さっきまでガヤガヤしていた人達は静かになり、

道の端に集まり道を開けた。

演奏に驚いたと同時に、

私の目の前の階段上の扉の中から

聖職者達が列をなして降りてきた。



うわぁ!何これ?

夢じゃないよね??



司祭、聖職者達の中にヤコブ像を運ぶ人達が見えた。

私の目の前を神様が降りて来ている。

言葉も出ず、泣いた。

ここに来るまでの

スピリチュアル道を歩きだしてからの孤独を思い出した。

ここにいられる奇跡。

必然なのかもしれないけど、

時間などを計画してもいないのにここにいること。



私は目に見えない存在に見守られている。

確実に感じた。



金管楽器とクラリネットの音楽が映画のシーンのように、

穏やかにゆっくりと流れていた。

その音楽がまた私の体験を知っているかのように感じた。

身体も震え、心も宇宙に飛んでいくような気持ちだ。

涙が止まらない状態になった。



私の周りにいた人達は、私を心配して声を掛けてくれた。

「私は大丈夫です」としか説明できない。

私の直ぐ目の前を沢山の司祭、聖職者達が通り、

私に気付き、何人かの聖職者達も泣き始めた。

私の体験を知らない人達とこの感動を、

この空間で共鳴し合った。



私が歩くのを止めていなければ、

私がスピリチュアル道を選んでいなければ、

アルベルゲの人達がタクシーを呼んでくれなければ、

出会った人達が巡礼の道を教えてくれなければ、

私がこれ以上のスピリチュアリティは必要ないと気付くまで、

歩き続けていなければ、、



ここに私はいない。

私1人ではここに来られていない。

見えない存在と私を助けてくれた人間がいたから、

私は今ここにいる。

私は1人で旅をしていたけれど1人じゃない。

この場所の人達とこうして共鳴していられる。

感謝の気持ちが胸の深くからこみ上げてきた。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ

2015年11月07日 23:49

20151107-1

駅のチケットカウンターでサンティアゴ・デ・コンポステーラ行きの

1番早い電車をお願いした。

カウンターのお姉さんに聞くと20分で着く特急があると言われた。

「特急料金込みでで5.05ユーロです」

安いし早い。

電車に乗れば早くて安いのに、歩こうと思っていたのか、、、



電車が来るまでカフェでエクスプレッソコーヒーと小さいパンを食べた。

電車に乗る人は少なく待合室は空いていた。

時間になり4番線のレンフェに乗ると、

社内は広く綺麗だった。

待合室では空いていたけれど、

車内は家族連れや老夫婦が既に座っていた。

眠らずに景色を楽しみ、あっという間に着いた。

「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」



複雑な気持ちで駅に降り、

目的地の大聖堂の場所をターミナルで聞いた。

「歩いてすぐ。まっすぐ進むだけ」

駅からは道があらゆる方向に向いている。

どの道だろう。

進みながら考えることにした。



皆が進む方向に一緒に進んだ。

小道が沢山あり、大聖堂や教会に見える建物は無かった。

私はクレデンシャルに大聖堂の写真があったのを思い出した。

写真を歩いている人に見せながら、進んだ。

駅からは黄色い道は無かった。

巡礼者が駅に向かって歩いていた。



私:  「大聖堂はどこですか?」
巡礼者:「そこの角を曲がったら広場があるよ。」



駅で聞いたまっすぐではなかったけれど、

大聖堂がある広場に着いた。

写真とは違うのでここなのかどうが

確認のため近くにいる人に聞くと、

「角を曲がると大きな広場があって、

そこから見ると写真と同じだよ」と聞いた。

ここは広場じゃないのか、でもどうして人が並んでいるんだろう。

私は階段の下で大きな扉のある入り口を見ていた。

繋がる記憶

2015年11月07日 12:00

20151107
◆ 13日目 ◆

ダイニングルームのような場所にマットレスを敷き、

寝袋の中に入って寝ていたら、

もの凄い大きな音でガーとなった。

起きると、誰かがコインを入れるタイプの

コーヒーマシーンを使っていた。

私は目が覚めてしまった。

巡礼を止めたので寝不足ぎみでも構わないけれど、

朝早すぎる時間帯に目が覚めてしまった。

まだ外は暗い。

今日も歩く巡礼者達には、この音は厳しいのではと思った。



次から次へ起きてくる出発したい巡礼者達は、

そのコーヒーマシーンを止めることなく使っていた。

掃除機のような音量でずーと鳴り続けていた。

「音を止めて!まだ寝てるんだから!!」

やっぱり寝ている巡礼者達は注意していた。

しかし、目の覚めた巡礼者達は変わらず、

コーヒーマシーンを使っていた。

日本だったら気を使い、これは使わないだろう。

ここでは自分のことしか考えないのが当たり前だった。



荷物をまとめた巡礼者達は外の扉を開けっ放しにして、

音を気にせず出入りを繰り返した。

外の風が部屋に入りブルっと震えた。

寝袋に入っていても寒い。

私はそのまま人間観察し続けた。

「ちょっと!寝てるのに何で扉開けたままなの!!」
「ここで寝ている人だっているんだよ!」

デンマークの男の子が起きてきて、

私を不憫に思ったので注意してくれた。

私は観察を楽しんでいて注意できなかったことを申し訳なく思った。

私は何も彼に言えなかった。



私はこれから出発する巡礼者達に嫌な気持ちで

出発して欲しくなかった。

昨日会った怒りながら歩く人を思い出した。

外に出た音を立てていた巡礼者達の所に行って、

私が歩けない巡礼道を楽しんでという意味を込めて

「エンジョイ ブエンカミーノ」と送り出した。

彼らは手を振ってまだ暗い道を進んで行く。

空を見上げると沢山の星が輝いて美しい。

今見える世界は美しい!



私は寝袋に戻りタクシーが来る8時までじっとしていた。

時間が近づきまだ寝ている巡礼者を起こさないよう準備をした。

8時前に外に出るとタクシーが既に待っていた。

私は慌てて荷物をまとめてタクシーに乗った。

英語が通じない運転手さんだ。

乗って気が付いた。

私の寝てたマットレスを片付けていない。

彼らに「さよなら」って言ってない。

タクシーは無言のまま出発していた。



外は太陽が昇って明るくなりはじめている。

朝の光は美しく私を喜んで送りだしているようだ。

車の中から写真を撮っていたら、

町が見下ろせる景色の良い場所で

運転手さんが車を止めてくれた。



私は涙が止まらなくなった。

巡礼を出発した時の気持ち、

巡礼中の様々な気持ちの変化と体験、出会い、別れ、

振り返ると感謝することばかりだった。

私の心を出会った人達の思い出が温かく包んでくれている。

不思議な体験が1つの線で今のこの瞬間に繋がったように感じる。



気付くと隣で無口の運転手さんが泣いていた。

何も話していないのに、私の気持ちを理解したように。

私達は一緒に泣いていた。

涙が止まらなくなった。

涙を拭きながら外の景色を眺め、私達は駅まで着いた。

私は運転手さんに25ユーロを渡すと

彼は「ブエンカミーノ」と言って別れた。

彼は見えなくなるまで手を振り続けてくれた。

必然は繋がる

2015年11月06日 23:39

20161106-1

宿の支払いや事務手続きが終わった。

管理人さんは戸締りの注意を話し、

車で家に帰って行った。

私は言葉が通じないけれど、管理人さんの両手を握って、

ありがとうございます。と伝えた。



全てが落ち着いたら、

ブラジルの男性が私を食事に誘ってくれた。

「私は大丈夫。お腹は空いてない」と言ってしまった。

本当はもの凄くお腹も喉もペコペコだった。

私はお腹が空いていたけれど、言ってしまったと後悔していた。

ブラジルの男性は私の様子で何か分かったようだった。

デンマークの男性も一緒に行くから食べに行こうと、

もう1度誘ってくれた。



私達3人は宿から少し歩いてレストランに向かった。

歩いている途中デンマークの男性は、

家で飼われている馬と会話をしていた。

馬が彼の所に近づき甘えだした。

彼は馬に触れお互い何か話しているように見えた。

彼は不思議な才能を持っている人だなと思った。



日か沈み空が美しかった。

歩いて着いたレストランは、さっき宿を「あっちのほう」と

教えてくれたバーのあるお店の並びだった。

私達はレストランでスペインオムレツとサラダ、

ビールを注文した。

スペインオムレツはフライパンぐらいの大きさで、

食べきれないぐらいだった。



私達はここまでの旅の話や恋愛、文化、仕事など

古くからの友人と久しぶりに会ったように話した。

私達はとてもよく似ていた。

仕事内容も年齢も近かった。

男性2人はこの巡礼途中で知り合い、

再びこの町で合流したと分かった。

途中、私が海岸沿いをわざわざ歩いていたのは、

船を使ってパドロンまで行けるルートがあるからだとその時分かった。

私は船の情報が無かったので、山に向かったんだと納得した。

(補足: 宿に置いてあったパンフレットをもらったら、

船で行くルートとは別にいくつか戻るルートがあった。)



このスピリチュアルの道を選ぶ人はユニークだよね。

と今だから言える笑える体験話も出てきた。

その話を聞いて私はやっと理解した。

この2人に会うために私はこの場所に戻ってきたのだと。

懐かしい感覚が3人にはある。

また、それぞれユニークであっても繋がってる感覚がある。



食事の後はバーでスペインのリキュールを1杯だけ飲んだ。

バーの女性は相変わらず機嫌が悪いようだった。

きっと巡礼者が嫌いなのであろう。

話が盛り上がり外は暗くなっていた。

外を3人で歩き戻りながら、

自分の国に帰っても連絡を取り合う約束をした。

私は安心して眠ることができる。



◆宿の情報◆ (住所不明)
     ( 記憶が曖昧 13 ユーロ ぐらい)

Albergue de Peregrinos de Armenteira
https://www.facebook.com/AlberguedeArmenteira/timeline



◆レストランの情報◆

A Fonte

Vilar 5, Armenteira, 36192 Meis, España
T.986710003
E. http://www.tripadvisor.es/Restaurant_Review-g1800648-d8025248-Reviews-A_Fonte-Meis_Pontevedra_Province_Galicia.html

救世主

2015年11月06日 11:10

20151106

何台か車を止め「この近くに宿はありますか?」と聞いた。

運転手は皆、同じように答えた。



「この辺りには宿がない。」
「2~3km下ればあると思う」



私は歩かないと決めた。

この先には宿がないのは私も知っている。

次にきた車を止め、

坂を下った先の町へ連れて行ってもらうことにした。

乗用車を運転していた男性は50歳ぐらいだった。

「すみません。道に迷ったので、下の町に連れて行ってください。」

男性は手招きで「どうぞ乗りなさい」と言ってくれた。



嬉しくて涙が出た。

スピリチュアルな道に入ってから、孤独をずっと感じていた。

また緊張し続けていた糸を

男性がプツっと切ってくれたかのようだった。

突然現れた見ず知らずの人を車に乗せてくれるなんて、

心が広すぎる。



車の中で男性が話をしてくれた。

「昔、巡礼した経験があること」
「巡礼者を助ける手伝いをしていること」
「家に何人も巡礼者を泊めた経験があること」

私は車に乗せて頂けるだけで嬉しかった。

泊めて欲しいなど、これ以上甘えるのはどうだろうと躊躇した。

私は「近くの町で宿を探したい」と伝えた。

彼は「宿がこの辺りにあるか分からないけど、

レストランがある場所で聞いてみたらみつかるかも」

と教えてくれた。

お礼を言って運転手と別れると

「ブエンカミーノ」と言ってくれた。



町というより、わりと新しい建物のお店が数件並んでいただけだった。

お店の周辺にいる人に宿があるか聞いてみた。

「観光客だから知らないけど、お店の人に聞いてあげるわ」と

家族ずれのお母さんが言ってくれた。

バーに入ると人はあまりいなかった。

バーの女性店員さんは

「場所は知らないけど、あっちの方の小学校が泊めてるって聞いたわよ」

とちょっと不機嫌そうな感じで答えた。

家族とバーの女性店員さんにお礼を言って、

私は彼女の言っていた「あっちの方」に向かった。



民家はあるけど、宿のような建物は見つからない。

私は信じて歩いた。

公民館のような建物の階段で座っている女性に英語で声を掛けた。

女性はイタリア人で英語が分からないと答えた。

女性は吸っていたタバコの火を消すと扉を開けた。



アルベルゲはここだった。

扉の奥に2段ベッドが並んでいるのが見えた。

女性はベッドで寝ている男性を起こしてきた。

眠たそうな顔をした日焼けをした男性がやってきた。



男性:「どうしたの?」
私 :「ここに泊まりたいです」
男性:「ごめん。ぼくも巡礼者だから泊まれるか分からない」
   「ベッドがいっぱいだし、泊まれないと思うよ」



私は泊まれないという言葉で一気に涙が出た。

ここに泊ることできないなら他に場所はない。

山にまた戻るということ?

もう犬に囲まれる恐怖は嫌だ。

山に戻るのは絶対に嫌だ。

涙が止まらない。

私は彼がスタッフではないのは分かっていたが、

今日1日の体験を伝えてでも泊まれないかを、

泣きながら全力で伝えた。



私 :「お願い!!玄関先でもいい。犬に囲まれたくない」
   「寝袋持っているからここにいさせて!!!」

全力で説明をした後に叫ぶように伝えた。

男性:「もう大丈夫。マットレスがあるから」
   「自分も1人で歩いてきたから気持ち分かる」
   「スタッフが来たら説明しなさい」
   「まずは温かいシャワーを浴びて、待ちなさい」と

彼は私の肩を摩りながら扉の中に入れてくれた。



私は部屋の中に入れてくれた幸せでまた涙がでた。

彼は私を安心させようと沢山話掛けてくれた。



ブラジル人で今はニュージーランドに住んでいる。
日本に行ったことがある。
日本にも友達がいる。
お土産に地下足袋を買ったことがある。
1人で巡礼をしていて今日ここに着いたことなど。



日本と聞いて私は安心で涙が止まった。

それを見た彼は「安心したね。シャワー浴びなさい」と

案内してくれた。



シャワーから出てくると、

部屋には色々な国の人達がいた。

言語も様々だった。

ブラジルの男性は私にデンマークの男性を紹介してくれた。

そして部屋は平和な空気が流れていた。

私はリュックに入っていた旅行用フェイスパックや

冷却シップなどをそこにいた女性達にあげた。

男性達には水で溶かすお茶しかなく1つづつ渡した。



話が盛り上がってきたところで、60代ぐらいの男性が入ってきた。

ここの管理人さんだった。

ブラジルの男性は何か国語も話せるので、

皆の通訳となり管理人さんとガリシア語で話していた。

ブラジルの男性は私に「泊まれるよ」と教えてくれた。

彼のお蔭で部屋のマットレスで寝られることができた。



私は彼に「帰りの日程が決まっているので、

明日はサンティアゴ・デ・コンポステーラに着きたい。

この近くに駅やバスはありますか?」

と通訳してもらった。

管理人さんは「バスはないけど、電車で行ける」

「駅まではタクシーでしか行けない距離だ」と

教えてくれた。

私は「タクシーで行きます」と伝えた。



ブラジルの男性が私を救ってくれた。

彼は管理人さんにタクシーの予約をお願いして、

私は明日の朝にタクシーで駅に行けることが決まった。

私の後も色々な国の人の通訳を彼はしていた。

彼がいなかったら、彼に会えなかったら、

私も皆もどうなっていたんだろう。

レインボーの声

2015年11月05日 23:38

20151105-2

ネガティブな感情を乗り越えたかのように

山の上り道はなくなった。

下りの道に変わってからだんだん日が落ちはじめてきた。

まだ人も家も見えない。

今度は、迷いが目の前に現れた。

黄色の矢印と同じ場所に青い矢印がある。

方向はそれぞれ異なる。

黄色の矢印を信じて歩いてきたけれど、

なぜ青い矢印??

私は信じる体験を通して心で感じてみた。

どっちに進むべきか。

今ままでと同じ黄色の矢印を信じ再び歩いた。



下り続けると、アルベルゲ(宿)までの距離の書かれた

スペイン語の看板を見つけた。

5km、12km、17km、29km、、、

地図を持っていないので書かれた名前をみても

私には理解ができなかった。

1番近い宿まで5kmという意味なのだろうか?

きっと下った先に宿があると信じることにした。



宿があるのだと思うと歩くのを頑張れた。

そのまま下りの道を歩き続けた。



車が通る音が聞こえた。

もう直ぐだと音の聞こえる道まで小走りで近づいた。



その道に出て呆然となった。

もう何が起きているのか分からなくなった。

今まで夢をみていたのだろうか、

現実に戻り言葉を失った。



今朝、学生達の集団と一緒に上った道だった。

先生がスペイン語で説明をしていたその道だ。



私の自信は無くなった。

何のためにここまで信じて歩き続けてきたんだ。

今日は休みを取らず、食事もほとんど取らずに歩いた。

落胆である。



朝登ってきた道なのでこの近くにアルベルゲが無いのは

分かっていた。

6時を過ぎていたので、宿を探さなければ危なくなるとも思った。

ここは山の中。

また同じ道を登るのか??

どっと疲れて道に座り込んだ。

私は座りながら考えることにした。



うな垂れる私にまたあの声が聞こえてきた。

「You are already spiritual.」
「You do not need more spirituality.」
「You do not need to walk.」

あなたは既にスピリチュアルである。
あなたはこれ以上のスピリチュアリティは必要としない。
あなたは歩く必要がない。



私は英語できこえたこの言葉を心で理解した。

そして、私はサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道を

歩いて進むのを止めた。

私は既にスピリチュアルだから歩く必要はなく、

この地点に戻ってきたのだ。

私はアルベルゲを探すと決め、車を止めることにした。

レインボーカラーに包まれて

2015年11月05日 21:20

20151105

遭難した場合の事を考えた。

私がここにいることを誰も知らない。

宿のお兄さんは私がパドロンの宿に泊まっていると

思っているはずだ。

パドロンの町ではない場所に来てしまったから、

私に気付かないだろう。

スピリチュアルな道に入る前に会った巡礼者達はどうだろう。

途中で入ったバーの人達、道ですれ違った町の人、、、

私をチャイナと呼び続けていたグループ、、

出会った人達の事を思い浮かべてまた涙が出た。

私を探さないだろうな。

携帯を持ってこなかった自分が悪いんだ。

馬鹿なことをしてしまったなと思った。

歩きたくない。



泣きつかれ、落ち込んだ自分でいるのが嫌になった。

思いつく言葉は全てネガティブな言葉ばかり。

考え方を変えようと気持ちを切り替えた。

ここからの眺めは美しい。

雨が降っていない今は。

黄色い矢印は必ず私の目の前にある。

もう1度だけ自分自身を信じてみよう!

「トラスト トラスト トラスト」(信じる 信じる 信じる)と

声に出し自分と戦いながら歩く事にした。



犬に吠えられていた時と同じように信じればいいんだ。

私を見えない存在達は絶対に見守っているはずだ。

「トラスト トラスト トラスト」

この呪文を言っているとポジティブな気持ちになれた。

「トラスト トラスト トラスト」



急にふっと空が明るく感じた。

空を見上げると、1本の線が空を切ったように現れた。

そして、バターリャ修道院や朝の雨が上がった山道と同じ声で

「信じろ」

とはっきり聞こえてきた。

私はとっさに「信じる」と声に出していた。



私は記録のために1本の線を写真に撮ると、

太陽の周りに虹が現れた。

とても美しく温かく感じた。

バターリャ修道院で見た虹色のステンドグラス。

雨上がりの山道の虹。

そして、今回の太陽の周りの虹。



私は間違っていないと確信した。

疑い深い性格だからなのか、

自分自身を信じることを試されているかのようだった。

黄色い矢印は私の目の前にある。

やっと、私は信じることを受け入れたという感覚が分かった。

言葉の意味の信じるではなく、心で信じるということ。



信じるを体験した後、下り坂が見えてきた。

見えない存在達の中の誰かが私をみていると思うと、

励まされているような気持ちになれた。

石の砂利道を歩き続けていたけれど、

途中で道が白や銀色に輝く砂利に変わった。

スピリチュアルな道だから人工的に演出したのか、

自然の流れでここだけ輝く砂利道になったのだろうか。

これがスピリチュアルな道なのだろう。と納得した。

後悔

2015年11月05日 11:02

20151105

犬達の姿は見えないけれど、

犬に囲まれ吠えられた体験が私を後悔させた。



このままここに止まることもできないので歩きながら、

今朝から私に起きたことについて振り返り反省した。



宿のお兄さんが朝、私にもう1日泊まりなさいと言っていたこと。
朝から雨が降っていたけれど歩き進めたこと。
巡礼者達に沢山会えた時点でこれから先の道の話を聞かなかったこと。
2つ分かれ道で車を止めてでも巡礼道を聞かなかったこと。
海岸近くのお店や家、巡礼者に見えた2人に、
正確な巡礼道の答えが出るまで聞かなかったこと。
この山を登るまであったいくつかの家の人に泊まれるかを聞かなかったこと。

などなど、



考えていたら涙がでていた。

仕方がないけど。。



私は携帯、パソコンを持っていないので歩く以外、

もうどうすることもできなくなっている。

途中で平坦な道になっても、また上りの道が永遠と続いているし。



上っても上っても下りの道はない。

結構な高さまで上ってきたと思うけれど。



木と木の間からさっきまで歩いていた下の町が見えていた。

雲が掛かっていなかったので、

海岸沿いの家が見える。

「この景色を巡礼者に見せたかったから、

私をここに連れてきたのかな~」と

神様が望んだことのようにポジティブに考えた。



実際に、海も町も山も輝いているようで美しい。



自分をポジティブに考えられるように励ましながら歩く。



歩き続けると、車が通る道が見えた。

しかし、黄色い矢印は車の通る道とは違う、

砂利道の山道を指している。



私はこのまま車道を歩いて行けば、

早く次の町に着くかもしれない。



車が来るかもしれないのでしばらくその場所で待った。



車がここを通ったら止めて話を絶対に聞こう。

と決めた。



数分後に車がやってきた。

丸い顔の叔父さんが乗っている。



「すみません。私巡礼をしています。」

「巡礼の道を知っていますか?」

「下りの道はこの先ありますか?」

「次の町まで歩いて何時間掛かりますか?」

と私は全力で聞く。



叔父さんは英語が分からないような雰囲気で答えてくれた。



「巡礼の道は知らない。」

「ここに住んでいない。」

「次の町まで歩けば2、3時間で着くと思う」



私は車に乗せてもらいたい気持ちのままだったけれど、

2,3時間で着くのなら歩こうと決めた。



叔父さんに「グラシアス(ありがとう)」と伝えると、

心配そうな顔をしている叔父さんは車を発進させた。



もう少し頑張ってみよう。

私はまた山の方へ歩いた。

歩いてもやはり上りの道しかなかった。

この旅で私のように歩いている人や

巡礼者に全く会わないのが不思議だ。

誰もいない。ここにいるのは私だけ。

あるのは黄色い矢印のみ。

不安と恐怖が交互にやってくる。

再び犬に囲まれるかもしれない。

誰かに襲われるかもしれない。

心も折れてきて、涙が出てくる。

時々見える下の町の景色だけが私の心を救ってくれていた。

3匹の犬

2015年11月02日 20:05

20151104

少し坂道のある民家が並ぶ道に入った。

飼われている犬は相変わらず私に吠えている。

これから先へ進む巡礼者を阻むように

吠え続けているように感じる。

庭の柵を超えて飛び出てくるのではないかと思った。



私は柵から飛び出し噛みつかれるのではないかと

恐怖で胸に手を当て、

「私は噛まれない。自分を信じる」と心で唱えた。

すると、なぜか犬は吠えるのを止める。

あれ?気持ちが通じてるの?



そのまま私は他の家々で吠える犬とも目を合わせないで、

「信じる」と唱えながら小道を進んだ。



そのまま歩き続けると、

長く続く坂道が見えてきた。

時間は既に4時を過ぎている。

スペインでは9時半を過ぎると

暗くなり始めるので心配な気持ちになる。



このまま山に入ってしまうと2,3時間は歩き続けなければ、

次の町はないだろう。

ここはいったいどこだ?

今どこに私はいるの?



今朝の山登りの経験が私の足を重たくする。

長く長く続く坂道である。

私は道に座り込み考えた。



海岸沿いに戻って宿をみつけるか?

この山を自分を信じて登るか?

次の町があるのか分からない。

また、ここの町がどこだかも分からない。



自分が今どこにいて、

どこに向かっているのかが分からなくなり、

悲しくなった。



道に座り込み泣きはじめた所で、

高級車を乗った若者の車が私の前を通った。

私は慌ててその高級車を止め、

距離の書かれた案内を彼に見せた。



「今私はどこですか?」と尋ねると、

彼は「ここにはないよ」と答えた。

私は彼に救って欲しい気持ちと混乱で少しパニックになった。



「すみません。巡礼の道は合っていますか?」

「次の町まで何時間掛かりますか?」

「私をこの車で近くの町または駅まで連れて行ってくれませんか?」



立て続けに私は質問をしていた。

彼は驚いた顔をして、私の身なりをチェックして答える。



「巡礼の道を知りません。巡礼も」

「ノーエンティエンド(英語分かりません)」



と明らかに私を車に乗せたくはない表情だ。



当然だよね。。。

私は諦めてまた道に座った。

高級車は私を助けてくれるために現れた訳ではなかった。

涙が出てくる。



私は次に車が通ったら、車に乗せてくれるかを聞こう。

乗せてくれなかったら諦め、山に向けて進もうと決めた。

今度は普通の乗用車が通った。



私は車を止めて話掛けた。

今度は優しく落ち着いて話そう。



車に乗っていたおじさんは英語が本当に理解することができず

「ノー」とだけ答えた。



涙を我慢し、私は重たい足に言い聞かせ、

坂を上り始め動きだした。



長く続く坂道を上り、

山に入る途中のワイン畑の所有者であろう大きな家のお庭で、

高級車から降りてきた夫婦を見かけた。

彼らは私を心配そうな目で見ている。

怪しいと思っているのか?

心配してくれているのだろうか?



私を指さしているので、私の話をしているのだろう。

私は登ると決めたので彼らに話し掛けずに進んだ。

2人が私を止めてくれたらいいのにな~。



とうとう私は1人で山の中に入ってしまったようだ。

歩いても家も人もいない。

スピリチュアルな道に入ってから、

巡礼者に全く会ってもいない。



早く山を抜けたい気持ちで小走りで登る。

すると、山道の先の遠くを犬が歩いているのが見える。

私は家があるのかなと思った。

家が会ったら嬉しい。

人がいてくれたらもっと嬉しい。




しかし、家らしい建物は無い。見当たらない。

私は犬がウロウロしているその道を

通らなければいけないので、犬の方に進んだ。



犬は1匹ではなく、3匹いる。

何で?犬がいるの?

どこから来たのよ?



私はまた吠えられると直観で思ったとたんに、

その3匹が私の周りに集まってきた。

いやー。



3匹の犬に囲まれ吠えられた。

やっぱり吠えられた。



恐怖で私は後ろに戻ったけれどもう遅い。



怖くてどうしていいのか分からなくなりパニックになる。



3匹同時に吠えて囲まれた。



いやー。噛まないでー。



私はさっき犬が吠えなくなった時と同じように、

とっさに胸に手を当て

「自分を信じる。信じる。信じる」と

呪文のように唱えた。



私は恐怖で目を閉じ、呪文と共に歩き進める。

恐怖で目を開けられない。



囲まれていた犬に襲われ噛まれるかもしれない恐怖と、

犬にぶつかってしまい、もっと犬が怒るのではないかとも思った。



数メートル進んでから犬の吠える声が聞こえなくなった。

どこだー犬はー?



私は振り返るのが怖かったので、

呪文を唱えながらそのまま進む。



また数メートル進んで深呼吸をしながら、

後ろを振り返った。



さっきまで吠えてた犬は1匹もいなくなっていた。

あれ?そんなに歩いてない?

犬が見えない?

引き潮の海

2015年11月02日 20:04

20151102-3

歩いてる人達に巡礼道を聞いてみたが、

相変わらず答えは「知らない」だった。

雨が止んでいることだけが救いだと思える。



そのまま歩き続けていると、海が見えてきた。

今までの海とは違い、

引き潮で海面が遠くの方にやっと見える。



初めて歩いていることを無意味に思った。

道路沿いを歩くように黄色い矢印が指していれば、

遠回りせずにすんだのに、わざわざ海岸を歩かせる。



また、私の感情も「海だ!」と喜べない。

「海はもういいので、安心できる道が欲しい」と

心で叫んでいた。

「海岸沿いになぜ矢印を付けたんだ?」
「ただ歩かせたいだけだと思う」
「私は観光したい訳じゃないんだよ。」



新しく付けられたであろうペンキの黄色い矢印は、

私をイライラさせた。



海岸を過ぎたと思ったら、

同じような家の周りをぐるぐると周って歩く。

巡礼者のような2人組はいるけれど、

リュックを持っていない。

この道で合っているかどうかを聞こうと思ったけれど、

この2人にイライラで疲れた気持ちのまま聞けなかった。



足は浮腫み、膝下はかぶれている。

ギョサンを履いている足も疲れを感じている。



海岸沿いを歩く道の終わりが分かった所で、

靴に履き替えた。

まだ湿った状態の靴だから、

新しい靴下を2枚重ねて履こう。。

これから次への町へは、

きっともっと時間が掛かるだろうな。。。

スピリチュアルな道

2015年11月02日 17:33

20151102-2

スピリチュアルな道を選んで良かったのかなー。。

まだ迷いながら歩いていた。

巡礼者に会っていれば「間違っていない!」と

安心するけれど、人が誰もいない。



お昼を過ぎている時間なのに、

地元の人は歩いていない。

今までの道でも放し飼いの犬はよく歩いていた。

飼い主が近くにいたからだろうか、

放し飼いの犬は近くを歩いても、吠えなかった。



しかし、このスピリチュアルな道に入ってから、

犬によく吠えられるようになった。

家の庭で飼われている犬も吠えてくる。

なぜだろう。。



田舎の道というような民家がある道を過ぎた後、

黄色の矢印を疑うようになった。



「本当にこの道で合ってるの??」と声に出るほど、

歩く道の無いような道を指している。

誰も歩いていないからだろう。

木や葉が行く手を阻むように茂っていた。

「スピリチュアルな道だから?」



人や家、お店もないので進むしかない。

膝下がかぶれたように赤くなっていた。

何かの葉っぱに触れたからだと思う。

痛くてかゆい。

ギョサンは歩きにくいけど、

靴が濡れているので仕方がない。



朝から歩き続けているけれど、

地図がないので今どこを歩いているのか分からない。

黄色の矢印は続いているのに、巡礼者にも会わない。

途中、持ってきたスナックを食べて休んでいたけれど、

後ろからも巡礼者が来ない。

他の巡礼者は伝統的な古い道を選んでいるのだろうか?



道ではない道の林を超えると、

道路にでてきた。

お洒落な家や古い教会がある。



人が何人か歩いていたので、駈け寄り

「この道は巡礼者が歩く道ですか?」

「サンティアゴはこっちですか?」と聞いた。

彼らは「巡礼道を知らない」と答る。

今までは巡礼道の話をしなくても、

私のようなリュックを持っていると地元の人が声を掛けてくれた。



今までとは雰囲気が違う。

「道が間違っているのかもしれない」と焦りが出てきた。



地図は持っていないけれど、

サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの

距離が書かれた案内は持っていた。

その案内を持って、バーを訪ねた。



男性の店員さんに聞いてみよう。

「私は今日中にパドロンに行きたいです。」
「サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道はこっちですか?」
「巡礼道を知っていますか?」



店員さんとお店にいたお客さんが私の所に集まってきた。

そして皆が「知らないなー。パドロンは遠いよ」と言う。



外からバイクのヘルメットを持ったお客さんが入ってきて、

「黄色の矢印を見たことある。あっちを指していたよ。

巡礼道の道か知らないけど」と言う。

巡礼道をこの町の人達は知らない???



皆は私を見て不思議そうな顔をしている。

本当に歩いてるのか?というような目だ。

私はお水を買える場所が今後は無いかもしれないので、

大きいボトルのお水を買ってリュックに入れた。



「ここポンテベドラだけど、今日中にパドロンに行くには、

車を使わないと行けないよ」と真剣な顔で説明された。



昨日泊った宿があるレドンデラからポンテべドラまで

約25kmぐらいは歩いてきた自信はある。

だからあと30kmぐらいでパドロンに着くと考えていた。



しかし、分岐点の2つの黄色の矢印に出会った地点で、

全く自分がどこにいるのか分からなくなっている。



距離が書かれた案内をお店の人にもう1度見せ、

「今私がいる地点を丸で印付けてくれませんか?」と

ペンを渡し聞いた。

彼らは声を合わせたように

「この案内の図には町が載っていないよ」と

呆れた顔で私に言う。

ここで出た答えが私をより不安定にさせる。



「どうしよう。困った。きっと間違っているこの道は」



私はお店の人達にお礼を言って出た。

少しだけ希望を持とう。

もしかしたら、このお店の人達だけが知らないのかもしれない。

もう少し道を進んでから、巡礼の道を他の人に聞いてみよう。

歩いてきた距離と黄色の矢印が今もなお目の前現れているのを信じて、

歩き進むことを決めた。

きっと誰かが知っているはず。。

伝統的な道とスピリチュアルな道

2015年11月02日 16:48

20151102-1

小雨が再び降り始めた。

しばらく人を見かけないで歩き続けている。

グループの巡礼者は1つ前の町に泊まってしまったのか、

全く巡礼者達に会わない。

歩いていれば、前に人がいるだろう。



左は森があり、右に大きな高い塀がある道に入った。

足元の道は砂利道で車が通れる広さがある。

遠くで車の走る音だけが聞こえる。

1人で歩いてることで不安がまたやってきた。



巡礼者が全くいないのはおかしい。
道間違えたのかな?
ここで襲われたら誰もいなし助けてもらえない。
少し薄暗い天気になって怖い。
いつまでこの道の風景なのだろう。。



先の方まで見通せる1本道の先から

走ってくる人がいた。

マラソンをしているのだろうか?

近くに来て男性だと分かった。

あの人こんな道でマラソン?

もしスリだったらどうしよう。。。

私の頭の中は変な妄想でいっぱいだ。

男性はそのまま何事もなく私の横を走り去って行った。

やっぱりマラソンだったのね。。良かった。



再び1人になる。

まだ景色は変わらない。

高い塀が私を圧迫するような気持ちにさせる。



1台の白い乗用車が止まっているのが見える。

こんな場所に車が何で止まっているのかな?

もし、巡礼者を狙った盗賊だったらどうしよう。

巡礼者を襲うために車が止まってるのかな?



昨日の夜に体験したナンパの車のことや、

朝、宿のお兄さんに言われた不安なことを思い出す。

私は怖くなり、その車に近づくのをためらう。

この道しかないし。。。



さっきのマラソンをしている人に戻ってきて欲しい。と

思いながら、恐る恐るその車の止まってる方に歩く。



白い乗用車を止めた男性が湧水を汲んでいるのが見えた。

男性はこっちをじーっと見ている。

私は横を通り過ぎる時、

昨日の夜の車にしたことと同じように距離を取って警戒した。

胸が激しくドキドキする。

小走りになり私は追い越した。

直ぐに振り返り目が合ったらまずいと思ったので、

しばらく歩いてから振り返った。



白い車は動き出し、こっちの方に進んできた。

なぜ?

ヤバイ!と思ったので私は走った。

逃げないと!!



再び後ろを振り返ると、

車はUターンをして後ろの方向に

進んで去って行っていた。



私の恐怖の妄想とダッシュで私は胸が苦しくなった。




そのままドキドキが止まらない胸で小走りになり、

この道を進んだ。



やっと高い塀のない道に出る。

しかし、右と左をそれぞれ指した黄色い矢印が2つある。

今までとは違い、スペイン語で書かれた標識もある。

右の矢印には伝統的な古い道、

左の矢印にはスピリチュアル道と書かれてるようだ。

私は地図を持っていないのでこの意味が分からない。



人が来るのを休みながら待つことにした。

車は左右の道を時々通るが、止まらない。

5分経っても人は小雨で誰も現れない。

今までは道を教えてくれる人が必ず現れたのに今回はいない。



どうしていいのか迷い、心の中でつぶやいた。

「次の車が進む方向の道に進もう」

直ぐに車は現れた。

車は右から左に進んだ。

スピリチュアルな道だ。

人は心で繋がる

2015年11月02日 14:19

20151102

山道を抜け、お店の並ぶ道に出た。

足の痛みがひどく歩けなくなってきている。

テラス席のあるカフェで着替えと食事を取ることにした。



温かいコーヒーと大きなフランスパンの間に

ハムだけが挟まれたサンドイッチを注文。



お店の人にトイレを貸してもらい、

濡れたカッパをたたみ、靴下を脱いだ。

足の指は長時間お風呂に入った後のように、

白くしわしわになっている。

足にまめもできて、潰れかかっている。



新しく靴下を履いても、

靴がズブ濡れのままで、また靴下が濡れてしまう。

靴が直ぐに乾くような天気でもない。

私は持ってきていたビーチサンダルに履き替えて、

濡れた靴を靴ひもでリュックにくくり付けた。

ここから先はギョサン(ビーチサンダル)で歩こう。



少し食べてから進もうと思っていたが、

30cmぐらいの長さがあるサンドイッチは

想像していた以上に美味しく、

味わいながら食べ終わってしまった。



食べている間にグループで歩く巡礼者達が、

私の目の前を何組も過ぎて行く。

雨が止んだからなのか、

この町に泊まっていたのか分からないけれど、

巡礼者の数か増えている。



休憩を取りエネルギーも取り戻した。

今なら安心してこの先の道を歩こうと思える。



ギョサンで再び歩きはじめると、

「ブエンカミーノ」と挨拶を掛けられるようになった。

フレンドリーな巡礼者達のグループが、

「さっきも会ったチャイナ(中国人)だね」と会う度に手を振ってくれる。

私はそのまま呼ばれ続けても良かったけれど、

折角だから「日本人ですよ」と教えた。



アジア人=中国人と思われることはどこの国に行っても同じである。

日本人の良さを笑顔で伝えよう。



巡礼者にも色々な人がいることに気づく。

自分の希望でもないのに歩かされてる学生集団
子供やお年寄り
義足で歩いている人
松葉づえで歩いている人
お祈りのようなことをしながら歩く人
怒りながら歩く人
音楽を聴きながら弾むように歩く人
家族のように声を掛けてくれる人



町の人達も巡礼者に優しくしてくれることが多い。

人に会うと元気がもらえ、

私の足の指の痛みも落ち着いている。

人は会うだけで心が繋がり助けられているようだ。